【スポーツで肩が痛い…原因は“肩甲骨”かも?】
2026/08/24
スポーツをしていると、
「腕を上げると肩が痛い」
「投球すると肩の前側が痛む」
「トレーニング後に肩が重くなる」
「クライミングで遠いホールドを取りにいくと肩に違和感がある」
「以前より肩が上がりにくくなった」
このような症状を感じることがあります。
肩が痛いと、どうしても「肩関節そのものに問題がある」と考えがちです。
しかし、スポーツで腕を大きく動かすためには、肩関節だけではなく肩甲骨がスムーズに動くことが非常に重要です。
肩甲骨の動きが悪くなると、肩関節だけで無理に腕を動かそうとしてしまい、肩周辺の筋肉や腱などに負担が集中することがあります。
特に、
野球
バレーボール
テニス
バドミントン
水泳
ハンドボール
ボルダリング・クライミング
体操
筋力トレーニング
など、腕を頭より高い位置まで上げることが多いスポーツでは、肩甲骨の動きはパフォーマンスにも大きく関係します。
今回は、**「スポーツと肩甲骨の関係」**をテーマに、肩甲骨がどのように動いているのか、動きが悪くなると肩にどのような負担がかかるのか、そして自分でできる簡単なチェック方法まで詳しく解説します。
肩は「肩関節だけ」で動いているわけではない
私たちが普段「肩」と呼んでいる部分は、実際には非常に複雑な構造をしています。
腕を上げる動作を考えてみましょう。
一見すると、腕の骨が肩を中心に上方向へ動いているだけに見えます。
しかし実際には、
上腕骨が動く+肩甲骨が動く
という連動によって、大きな可動域を作っています。
肩甲骨は背中側にある平らな骨で、肋骨の上を滑るように動きます。
腕を上げるときには肩甲骨も一緒に上方向へ回転し、腕をスムーズに頭上まで持ち上げられるようサポートしています。
つまり、肩関節が正常でも肩甲骨が十分に動かなければ、腕の動きが制限される可能性があります。
逆に肩甲骨が適切に動くことで、肩関節への負担を分散させながら大きな動きを行うことができます。
この肩関節と肩甲骨の連動は、スポーツを考えるうえで非常に重要です。
肩甲骨にはどんな動きがある?
「肩甲骨を動かしてください」と言われても、どのような動きなのかイメージしにくいかもしれません。
実は肩甲骨には、さまざまな方向への動きがあります。
① 挙上・下制
肩をすくめるようにすると、肩甲骨は上方向へ移動します。
これが挙上です。
反対に肩を下げるような動きをすると、肩甲骨も下方向へ移動します。
これを下制といいます。
クライミングなどで腕を伸ばした状態から身体を引き上げるときにも、肩甲骨の上下方向のコントロールが重要になります。
② 外転・内転
両腕を前方へ伸ばしたとき、肩甲骨は背骨から離れる方向へ動きます。
これが外転です。
反対に胸を張り、左右の肩甲骨を寄せると、肩甲骨は背骨へ近づきます。
これを内転といいます。
投球動作やラケットスポーツなどでは、この肩甲骨の前後方向の動きも大切になります。
③ 上方回旋・下方回旋
スポーツでは特に重要な動きです。
腕を頭の上まで上げると、肩甲骨は外側から上方向へ回転します。
これを上方回旋と呼びます。
腕を下げると、反対方向へ戻っていきます。
肩甲骨の上方回旋が十分に行われない状態で無理に腕を上げると、肩関節周辺に負担が集中する可能性があります。
野球の投球、バレーボールのスパイク、水泳、クライミングなどでは特に重要な動きです。
「肩甲上腕リズム」とは?
肩関節について調べていると、肩甲上腕リズムという言葉を目にすることがあります。
腕を上げる際には、
上腕骨だけが動くのではなく、肩甲骨も連動して動いています。
この協調した動きが肩甲上腕リズムです。
肩関節と肩甲骨が適切に連動することで、肩周辺の組織に過剰な負担をかけずに大きな可動域を確保しやすくなります。
ところが、
肩甲骨周辺の筋肉が硬い
胸郭の動きが悪い
長時間のデスクワーク
猫背姿勢が続いている
特定の筋肉だけが強くなっている
同じスポーツ動作を繰り返している
などによって肩甲骨の動きが変化すると、この連動がうまくいかなくなる場合があります。
その結果、肩関節側で動きを補おうとしてしまい、肩周辺への負担が増えることがあります。
肩甲骨の動きが悪いと、なぜ肩が痛くなる?
ここが今回の記事で最も重要なポイントです。
腕を上げるとき、肩甲骨が一緒に動くことで肩関節周辺には必要なスペースが確保されます。
しかし肩甲骨の動きが小さくなってしまうと、上腕骨側だけで腕を上げようとする状態になりやすくなります。
すると肩関節周辺の筋肉や腱などに負担が集中する可能性があります。
例えば、
肩甲骨がうまく上方回旋しない
↓
肩関節だけで腕を上げようとする
↓
肩周辺へのストレスが増える
↓
繰り返すことで違和感や痛みにつながる
という流れです。
そのため、スポーツによる肩の痛みでは「痛いところだけを見る」のではなく、肩甲骨や胸郭なども含めて身体全体の動きを確認することが大切です。
肩甲骨の動きに関係する筋肉
肩甲骨は単独で動いているわけではありません。
多くの筋肉が協力して位置を調整しています。
代表的なのが、
僧帽筋
前鋸筋
菱形筋
肩甲挙筋
小胸筋
などです。
特にスポーツでは前鋸筋と僧帽筋の働きが重要になります。
前鋸筋は肩甲骨を肋骨に沿わせながら動かす役割があり、腕を上げる際の肩甲骨の上方回旋にも関係します。
一方で僧帽筋も上部・中部・下部がそれぞれ役割を持ち、肩甲骨の位置をコントロールします。
これらがバランス良く働くことによって、肩甲骨はスムーズに動きます。
そのため、「肩甲骨が硬いからストレッチだけすればいい」というわけではありません。
柔軟性だけではなく、肩甲骨を適切に動かす筋肉の機能も重要です。
スポーツ別に見る肩甲骨の重要性
野球
野球、とくに投手では肩甲骨の動きが非常に重要です。
投球動作では腕を大きく後方へ引き、そこから高速で前方へ振り出します。
肩関節だけではなく、
下半身
↓
骨盤
↓
体幹
↓
肩甲骨
↓
肩
↓
肘
↓
手
というように、全身で生み出した力をボールへ伝えます。
肩甲骨の動きが悪くなると、この運動連鎖が崩れ、肩や肘に負担が集中することがあります。
「肩が痛いから肩だけケアする」ではなく、体幹や股関節まで確認する必要があるケースもあります。
バレーボール
スパイクやサーブでは腕を大きく振り上げます。
そのため肩甲骨の上方回旋や体幹の回旋が重要です。
肩甲骨が十分に動かない状態で何度もスパイクを打つと、肩関節側への負担が大きくなることがあります。
また、疲労によって肩甲骨を安定させる筋肉が働きにくくなることもあるため、練習量にも注意が必要です。
テニス・バドミントン
サーブやスマッシュなどのオーバーヘッド動作では肩甲骨が大きく関わります。
特に試合や練習で同じ動きを何度も繰り返すため、小さな動作の乱れでも負担が蓄積する可能性があります。
肩だけではなく、
胸椎
体幹
股関節
肩甲骨
などの連動も確認したいポイントです。
水泳
クロール、バタフライ、背泳ぎなどでは、肩を何度も頭上まで動かします。
1回の練習で非常に多くのストロークを繰り返すため、肩甲骨の動きが悪い状態が続くと肩への負担が蓄積しやすくなります。
水泳では肩関節の柔軟性だけでなく、肩甲骨の安定性や胸郭の動きも重要になります。
ボルダリング・クライミングと肩甲骨
ボルダリングやクライミングでも、肩甲骨は非常に重要です。
クライミングでは、
遠いホールドを取りにいく
腕を伸ばした状態で身体を支える
引きつける
ロックする
デッドポイントを行う
ダイナミックムーブを行う
など、肩関節を大きく使います。
特に注意したいのが、腕だけで身体を引こうとする動きです。
肩甲骨が安定していない状態で腕の筋肉だけを使って引き続けると、肩周辺に大きな負担がかかることがあります。
クライミングでは「腕力」が注目されがちですが、実際には肩甲骨や体幹を含めた身体全体の連動が重要です。
遠いホールドを取りにいくとき
あと数センチ先のホールドへ手を伸ばしたい。
そんな場面で、肩関節だけで無理に腕を伸ばそうとしていませんか?
肩甲骨が肋骨の上を滑るように動くことで、リーチをさらに伸ばすことができます。
つまり肩甲骨の動きは、ケガの予防だけではなくクライミングのパフォーマンスにも関係するということです。
肩甲骨を上手に使えるようになると、より効率良く腕を動かせる可能性があります。
自宅でできる肩甲骨セルフチェック
ここからは簡単なセルフチェックを紹介します。
※痛みが強い場合は無理に行わないでください。
チェック① バンザイチェック
壁を背にして立ちます。
できるだけ腰を反らさないようにして、そのまま両腕をゆっくり上へ上げてみましょう。
チェックするポイントは、
左右で上がり方が違わないか
肩に痛みが出ないか
腰を大きく反らないと腕が上がらないか
肩をすくめすぎていないか
です。
腕が上がっているように見えても、腰を大きく反らして代償していることがあります。
チェック② 左右差を確認する
鏡の前に立ち、両腕をゆっくり上げます。
肩の高さや肩甲骨周辺の動きを左右で比較してください。
大きな左右差がある場合、肩甲骨周辺の柔軟性や筋肉の働きに差が生じている可能性があります。
ただし、人間の身体は完全な左右対称ではありません。
左右差がある=異常というわけではないので、痛みや競技動作と合わせて考えることが重要です。
チェック③ 背中に手を回す
片手を背中側へ回し、反対側と比べてみます。
左右で極端に違ったり、肩の前側に痛みが出たりする場合は注意してください。
無理に可動域を広げようとせず、痛みがある場合は中止しましょう。
肩甲骨を動かす簡単エクササイズ
セルフチェックで動きにくさを感じた場合、痛みがなければ簡単な運動から始めてみましょう。
① 肩甲骨回し
両手を肩に置き、肘で大きな円を描くようにゆっくり回します。
ポイントは「腕だけを回す」のではなく、肩甲骨が背中の上を動いていることを意識することです。
前回し・後ろ回しをゆっくり行いましょう。
② 壁を使ったバンザイ運動
壁に背中をつけて立ち、両腕をゆっくり上げます。
腰が大きく反らない範囲で行います。
痛みが出るところまで無理に上げる必要はありません。
肩甲骨が上方向へ回転していくイメージで行ってみましょう。
③ 肩甲骨の押し出し運動
壁に両手をつきます。
肘を伸ばしたまま、胸を壁から離すように背中を少し丸めます。
このとき、肩甲骨が外側へ広がっていく感覚を意識します。
肩甲骨周辺の筋肉を動かす練習として取り入れやすい運動です。
ストレッチだけでは改善しないこともある
「肩甲骨が硬い」と聞くと、一生懸命ストレッチをする方も多いと思います。
もちろん柔軟性は重要です。
しかしスポーツでは、
柔らかいだけでは十分ではありません。
必要なのは、
必要な範囲まで動くこと+その位置で肩甲骨をコントロールできること
です。
例えば、肩甲骨の可動域が十分あっても、高い位置で腕を支えられなければ競技中に肩へ負担がかかる可能性があります。
逆に筋力が強くても、可動域が不足していれば適切なフォームを作れません。
そのため、
柔軟性・筋力・安定性・動作
を総合的に考える必要があります。
肩が痛いときに「肩だけ」を見ないことが大切
スポーツによる肩の痛みでは、痛みが出ている場所だけに原因があるとは限りません。
例えば、
肩甲骨
↓
胸郭
↓
背骨
↓
体幹
↓
骨盤
↓
股関節
と、身体はすべてつながっています。
野球の投球やバレーボールのスパイクでは、下半身で生み出した力を体幹から上半身へ伝えます。
クライミングでも足でホールドを押し、体幹を使って身体を安定させ、そのうえで腕を動かします。
つまり肩だけで動作しているスポーツはほとんどありません。
だからこそ肩の痛みを繰り返している場合には、
「肩の筋肉が硬いから」
だけで終わらせず、
なぜ肩へ負担が集中しているのか?
という視点で身体を見ることが重要です。
こんな肩の症状は一度チェックを
スポーツをしていて、次のような状態が続いている場合は身体の状態を確認してみましょう。
腕を上げると肩が痛い
投球時に肩が痛む
サーブやスマッシュで痛みが出る
クライミングで引きつけると肩が痛い
遠いホールドへ手を伸ばすと違和感がある
トレーニング後に肩の痛みが続く
左右で肩の動きが大きく違う
肩を動かすと引っかかる感じがする
一度休むと良くなるが、競技を再開すると再び痛くなる
特に「休めば治るけれど、スポーツをするとまた痛い」という場合、競技動作や身体の使い方によって同じ場所へ負担がかかっている可能性があります。
繰り返す肩の痛みは、早めに原因を確認することが大切です。
また、強い痛みや明らかな外傷、脱力感、しびれ、夜間痛などがある場合は、自己判断で運動を続けず医療機関への受診も検討してください。
ふうりん接骨院では肩だけでなく「動き」も確認します
スポーツで肩に痛みが出た場合、痛い場所だけを施術して終わりでは、競技へ復帰したときに再び同じ場所へ負担がかかってしまうことがあります。
ふうりん接骨院では、肩の状態だけでなく、
肩関節の可動域
肩甲骨の動き
左右差
筋肉の緊張
胸郭の動き
姿勢
スポーツ動作
身体全体のバランス
などを確認しながら、肩へ負担がかかっている原因を考えていきます。
スポーツを続けている方にとって大切なのは、単に「痛みを減らす」ことだけではありません。
競技へ戻ったときに、できるだけ負担の少ない身体の使い方ができる状態を目指すことも重要です。
「痛くないから大丈夫」とは限らない
スポーツをしている方の中には、
「練習中は痛くないから大丈夫」
「ウォーミングアップすると痛みが消える」
という方もいます。
しかし、身体が温まることで一時的に動きやすくなっているだけの場合もあります。
特に、
「練習後に痛くなる」
「翌朝に肩が重い」
「最近少しずつ可動域が狭くなっている」
「以前より力が入りにくい」
といった変化がある場合は注意が必要です。
大きな痛みが出る前の小さな違和感は、身体からのサインかもしれません。
早い段階で身体の状態を確認し、必要に応じてケアを行うことが、スポーツを長く続けるためにも重要です。
まとめ|肩の痛みは「肩甲骨」から考えてみよう
スポーツで肩が痛くなったとき、多くの方は痛みがある肩関節そのものに注目します。
しかし腕を上げる動作では、肩関節と肩甲骨が連動しています。
そのため肩甲骨の動きが悪くなることで肩関節への負担が増え、痛みにつながることがあります。
特に、
野球・バレーボール・テニス・バドミントン・水泳・クライミングなど、腕を頭より高く上げるスポーツでは肩甲骨の動きが重要です。
そして大切なのは、単純に肩甲骨を「柔らかくする」ことではありません。
動く・支える・コントロールする。
この3つを競技動作の中で使えることが重要です。
「腕を上げると肩が痛い」
「スポーツをすると肩の痛みを繰り返す」
「肩甲骨が動いていない気がする」
「左右で肩の動きが違う」
「クライミングで肩に違和感がある」
そんな方は、一度肩だけではなく肩甲骨を含めた身体全体の動きをチェックしてみてください。
ふうりん接骨院では、スポーツによる肩の痛みや違和感に対して、身体の状態や競技動作を確認しながら一人ひとりに合わせたサポートを行っています。
痛みを我慢しながらスポーツを続けるのではなく、身体の状態を確認して、思いきりスポーツを楽しめる身体を目指していきましょう。

