💥 肩の奥が痛い!それってSLAP損傷かも?
2026/10/16
野球でボールを投げると肩の奥が痛む、ボルダリングで遠くのホールドを取った瞬間に肩に違和感が走
る、腕を上げたり回したりすると肩の内部で引っかかるような感覚がある。
このような症状を経験したことはありませんか?
肩の痛みというと、一般的には四十肩・五十肩や腱板損傷、肩関節周囲炎などが知られています。
しかし、スポーツを行っている方の場合、**SLAP損傷(肩関節上方関節唇損傷)**と呼ばれる障害が関係している可能性もあります。
SLAP損傷は、肩関節の安定性に関わる「関節唇」という組織の上部が損傷する状態です。
特に野球などの投球スポーツで知られていますが、ボルダリング、体操、バレーボール、テニスなど、腕を頭上に挙げたり、肩に強い牽引力が加わったりするスポーツでも注意が必要です。
また、SLAP損傷は肩関節だけの問題として考えるのではなく、肩甲骨や胸椎、体幹の動きとの関係にも目を向けることが重要です。
今回は愛知県豊川市のふうりん接骨院が、SLAP損傷の解剖学的な特徴から発生メカニズム、症状、スポーツとの関係、リハビリテーションまで詳しく解説します。
1.SLAP損傷とは?肩関節の構造から理解しよう
SLAP損傷の正式名称
SLAP損傷とは、英語の「Superior Labrum Anterior to Posterior lesion」の略称です。
日本語では「肩関節上方関節唇損傷」と呼ばれています。
肩関節の関節唇のうち、上方部分が前方から後方にかけて損傷する状態を指します。
この損傷を理解するためには、まず肩関節の構造を知る必要があります。
肩関節は非常に動きの大きい関節
肩関節は人体の中でも特に可動範囲が大きい関節です。
腕を前方に挙げる、横に広げる、後ろに回す、内側や外側に捻るなど、さまざまな方向へ動かすことができます。
この大きな可動性を実現しているのが、上腕骨頭と肩甲骨の関節窩によって構成される肩甲上腕関節です。
上腕骨頭は球状の形をしています。
一方、肩甲骨の関節窩は比較的浅い受け皿のような構造です。
股関節のように骨同士が深くはまり込む構造ではないため、肩関節は大きく動かせる反面、骨だけでは安定性を十分に確保できません。
そこで重要になるのが、関節唇、関節包、靱帯、腱板などの組織です。
関節唇とは?
関節唇は、肩甲骨の関節窩の周囲を取り囲む線維軟骨性の組織です。
関節窩の縁を補強することで、上腕骨頭が安定して動くための環境を作っています。
主な役割には次のようなものがあります。
関節窩の深さを補う
肩関節の安定性を高める
上腕骨頭の過剰な移動を抑える働きに関与する
関節内の陰圧による安定性の維持に関わる
関節包や靱帯などと協調して肩を支える
つまり、関節唇は肩関節の大きな可動性と安定性を両立させるうえで重要な組織なのです。
SLAP損傷では、この関節唇の上部に損傷が生じます。
2.SLAP損傷と上腕二頭筋長頭腱の深い関係
SLAP損傷を理解するうえで欠かせないのが、上腕二頭筋長頭腱の存在です。
上腕二頭筋は、いわゆる「力こぶ」を形成する筋肉として知られています。
しかし、その働きは肘を曲げることだけではありません。
上腕二頭筋は長頭と短頭に分かれており、そのうち長頭は肩関節にも関係しています。
上腕二頭筋長頭腱の走行
上腕二頭筋長頭腱は、肩甲骨の関節上結節および上方関節唇付近を起始部としています。
そこから肩関節内を通り、上腕骨の結節間溝へと走行します。
この構造から、上腕二頭筋長頭腱に強い張力が加わると、その付着部である上方関節唇にも負荷が伝わる可能性があります。
特に肩を大きく外転・外旋させる動作や、腕が急激に引っ張られる動作では注意が必要です。
なぜ上腕二頭筋長頭腱が重要なのか?
例えば、野球の投球動作では、肩関節に大きな回旋力が加わります。
また、ボルダリングでは、ホールドを保持した状態で身体が下方へ落ちるような動作が起こることがあります。
このような場面では、肩関節周囲の筋肉や腱に大きな負荷が加わります。
その結果、上腕二頭筋長頭腱の付着部を介して上方関節唇にストレスが加わることが考えられます。
ただし、肩に牽引力が加わったからといって、必ずSLAP損傷が起こるわけではありません。
肩関節の位置、筋肉の活動、負荷の大きさ、既存の組織変化など、さまざまな要素が関係しています。
3.SLAP損傷が起こる主な原因
SLAP損傷の発生には、大きく分けて外傷性の要因と反復性の要因があります。
① 転倒や衝突による外傷
転倒した際に手をついたり、肩を強く打ったりすることで、肩関節に急激な力が加わる場合があります。
例えば、スポーツ中に転倒して腕を伸ばした状態で地面に手をついた場合、上腕骨頭と関節窩の間に大きな負荷が発生することがあります。
こうした外傷によって関節唇が損傷する可能性があります。
② 腕が急激に引っ張られる
SLAP損傷の原因として知られているものの一つが、肩関節への急激な牽引負荷です。
例えば、重い物を持った際に腕が引っ張られたり、スポーツ中に身体の重さが腕に集中したりする場面です。
ボルダリングでは、足がホールドから外れ、腕だけで体重を支えるような状況が該当します。
③ 投球動作の繰り返し
野球の投球動作では、肩関節が高速で外旋・内旋を繰り返します。
特に投球の後期コッキング期では、肩関節が大きく外旋した状態になります。
このとき、上腕二頭筋長頭腱と上方関節唇の付着部にねじれを伴う負荷が加わることがあります。
このようなメカニズムは「ピールバック機構(Peel-back mechanism)」と呼ばれています。
繰り返しの投球によって上方関節唇に負荷が蓄積することが、SLAP損傷に関係すると考えられています。
④ 加齢に伴う組織変化
関節唇は年齢とともに変性が生じる場合があります。
そのため、画像検査でSLAP損傷に似た変化が確認されたとしても、必ずしも現在の肩の痛みの原因とは限りません。
特に中高年では、症状のない肩にも関節唇の変化が認められることがあります。
画像所見だけで判断せず、症状や身体所見と合わせて考えることが重要です。
4.SLAP損傷の代表的な4つのタイプ
SLAP損傷は、損傷の形態によって分類されます。
代表的なのがSnyder分類と呼ばれる4つのタイプです。
TypeⅠ:上方関節唇の変性・摩耗
関節唇の上部に毛羽立ちや変性が生じている状態です。
上腕二頭筋長頭腱の付着部は基本的に保たれています。
加齢に伴う変化として認められることもあります。
TypeⅡ:上方関節唇と上腕二頭筋付着部の剥離
上方関節唇と上腕二頭筋長頭腱の付着部が、関節窩から剥離するタイプです。
SLAP損傷の中でも臨床的に重要なタイプの一つです。
肩関節の安定性や上腕二頭筋長頭腱との関係が問題になることがあります。
TypeⅢ:バケツ柄状の関節唇損傷
上方関節唇がバケツの持ち手のような形で裂けるタイプです。
裂けた組織が関節内で引っかかることにより、機械的な症状が現れる場合があります。
ただし、上腕二頭筋長頭腱の付着部は保たれています。
TypeⅣ:損傷が上腕二頭筋長頭腱まで及ぶ
TypeⅢのような関節唇損傷に加え、裂け目が上腕二頭筋長頭腱まで及ぶタイプです。
損傷の程度によっては、肩関節の機能に大きく影響する場合があります。
なお、SLAP損傷にはさらに細かな分類も存在します。
実際の治療方針は、損傷のタイプだけでなく、年齢、症状、スポーツ活動、他の肩関節障害の有無などを総合して検討されます。
5.SLAP損傷で現れやすい症状
SLAP損傷の症状には個人差があります。
また、SLAP損傷だけに特徴的な症状は少なく、他の肩関節障害と似た症状が現れることもあります。
肩の奥に感じる痛み
SLAP損傷では、肩の表面というよりも、肩関節の深い部分に痛みを感じることがあります。
患者さんによっては「肩の中が痛い」「どこが痛いのか指で示しにくい」と表現する場合があります。
引っかかり感やクリック音
腕を動かした際に、肩の内部で引っかかるような感覚や、クリック音を感じることがあります。
ただし、肩のクリック音自体は健康な方にも認められます。
音が鳴るだけでSLAP損傷と判断することはできません。
腕を上げる動作で痛む
肩を挙上したり、外旋したりする動作で痛みが現れる場合があります。
特にスポーツ中の大きな肩関節運動で症状が出ることがあります。
肩に力が入りにくい
痛みや不安定感によって、肩に十分な力を発揮できないと感じる場合があります。
ただし、筋力低下には腱板損傷や神経障害など、別の原因が関係することもあります。
スポーツパフォーマンスの低下
野球では球速の低下や投球時の痛み、ボルダリングでは保持力や動作の安定性の低下などが現れる場合があります。
こうした変化は、SLAP損傷以外の肩関節障害でも生じるため、慎重に評価する必要があります。
6.ボルダリングとSLAP損傷の関係
ここからは、ふうりん接骨院が特に注目しているボルダリングとの関係について解説します。
ボルダリングは、指や前腕の筋肉だけでなく、肩関節や肩甲骨周囲の筋肉にも大きな負荷が加わるスポーツです。
特にダイナミックな動作では、肩関節に瞬間的な牽引力や回旋力が加わることがあります。
デッドポイントでの肩への負荷
デッドポイントとは、身体の移動速度が一時的に小さくなるタイミングを利用してホールドを取りにいく動作です。
適切なタイミングでホールドを保持できれば、比較的スムーズに次の動作へ移行できます。
しかし、ホールドを取った瞬間に身体が大きく下方へ移動すると、肩関節に急激な負荷が加わる場合があります。
特に肩関節が挙上された状態で体重が腕に集中すると、肩関節周囲の組織に大きなストレスが発生します。
ランジでの急激な牽引力
ランジは、身体を大きく移動させて遠くのホールドを取りにいくダイナミックな動作です。
ホールドを保持した瞬間、身体の運動量を腕や肩で受け止める必要があります。
このとき、肩関節に強い牽引力が加わることがあります。
特に肩甲骨や体幹のコントロールが不十分な場合、肩関節周囲の組織に負担が集中する可能性があります。
足切れによる肩への負荷
足切れとは、ホールドから足が離れ、身体が腕だけで支えられる状態になることです。
この場面では、肩関節周囲の筋肉が身体の揺れを制御する必要があります。
特に急激な足切れでは、肩関節に予測しにくい方向の力が加わることがあります。
SLAP損傷だけでなく、腱板や上腕二頭筋長頭腱などへの負担も考える必要があります。
ガストンでの肩関節のストレス
ガストンは、手を外側へ押し広げるように力を加えるホールドの持ち方です。
肩関節の位置や身体の向きによっては、肩に大きな回旋力や水平方向の負荷が加わります。
ガストンそのものがSLAP損傷の直接的な原因と断定できるわけではありませんが、肩関節の安定性が求められる動作の一つです。
ボルダリングでは肩甲骨の動きが重要
ボルダリングで肩の負担を考える際には、肩甲上腕関節だけでなく、肩甲骨の動きにも注目する必要があります。
腕を頭上へ挙げる際には、肩甲骨の上方回旋、後傾、外旋などが組み合わさります。
これらの動きが十分に行われることで、肩関節がスムーズに動くための環境が整います。
ただし、肩甲骨の動きに左右差があること自体が、必ずしも障害を意味するわけではありません。
痛みの有無や動作全体を含めて考えることが大切です。
7.野球の投球動作とSLAP損傷
SLAP損傷は、野球の投球障害としても知られています。
投球動作では、肩関節に非常に大きな回旋力が加わります。
特に重要なのが、後期コッキング期と呼ばれる局面です。
後期コッキング期とは?
投球動作において、腕を後方へ引き、肩関節が大きく外旋する局面です。
このとき、上腕二頭筋長頭腱の付着部にねじれを伴う負荷が加わることがあります。
この負荷が上方関節唇に伝わることで、ピールバック機構による損傷が生じる可能性があると考えられています。
投球フォームだけが原因ではない
肩の痛みがあると、投球フォームだけに注目されることがあります。
しかし、投球動作は全身の運動連鎖によって成り立っています。
下肢で生み出した力を骨盤、体幹、肩甲骨、上腕、前腕、手指へと伝えることで、ボールに速度を与えています。
そのため、股関節や体幹の動きが十分でない場合、上肢の動作に影響する可能性があります。
肩関節の痛みを考える際には、肩だけでなく全身の動作を確認することも重要です。
8.SLAP損傷と腱板損傷の違い
肩の奥が痛む場合、SLAP損傷以外にもさまざまな障害が考えられます。
特に混同されやすいのが腱板損傷です。
SLAP損傷
主に上方関節唇に損傷が生じます。
上腕二頭筋長頭腱の付着部が関係する場合があります。
肩の深部痛、引っかかり感、投球時の痛みなどが現れることがあります。
腱板損傷
腱板は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉の腱によって構成されています。
肩関節の安定性や運動に重要な役割を果たしています。
腱板損傷では、腕を上げる際の痛みや筋力低下などが現れる場合があります。
両方が同時に起こることもある
SLAP損傷と腱板損傷は、必ずしも別々に起こるわけではありません。
同時に存在する場合もあります。
また、上腕二頭筋長頭腱の障害や肩関節の不安定性などが併存することもあります。
そのため、症状だけで損傷部位を特定することは困難です。
9.SLAP損傷の検査と診断
SLAP損傷が疑われる場合には、整形外科での診察が重要です。
診察では、症状が始まったきっかけ、スポーツ歴、痛みが出る動作、肩関節の可動域、筋力などを確認します。
徒手検査
SLAP損傷に関連する徒手検査には、以下のようなものがあります。
O'Brienテスト(Active Compression Test)
肩を一定の位置に保持し、抵抗を加えた際の痛みの変化を確認する検査です。
Crankテスト
肩関節に軸方向の負荷を加えながら回旋させ、痛みや引っかかり感などを確認する検査です。
Biceps Loadテスト
肩関節を特定の位置に保持し、肘を曲げる筋肉に抵抗を加えることで症状を確認します。
ただし、これらの検査は単独でSLAP損傷を確定できるものではありません。
検査結果を総合的に判断する必要があります。
MRI・MR関節造影
関節唇の状態を確認するために、MRIやMR関節造影が用いられることがあります。
ただし、画像検査にも限界があり、関節唇の正常な形態変異や加齢性変化との区別が必要です。
画像所見と症状が一致しない場合もあるため、医師による総合的な判断が重要です。
10.SLAP損傷の治療方法
SLAP損傷の治療は、損傷の状態や症状、年齢、スポーツ活動などによって異なります。
すべてのSLAP損傷で手術が必要になるわけではありません。
保存療法
症状や損傷の状態によっては、保存療法が選択されます。
保存療法では、痛みを誘発する動作の調整、肩関節周囲の筋力改善、可動域の回復、運動療法などが行われます。
特にスポーツ選手では、肩関節だけでなく肩甲骨や体幹の機能も考慮することが重要です。
手術療法
保存療法で十分な改善が得られない場合や、損傷の状態によっては手術が検討されます。
代表的な手術には、関節唇の修復術や上腕二頭筋長頭腱に対する処置などがあります。
どの方法が適しているかは、年齢やスポーツ活動、損傷の形態などによって異なります。
治療方針については、整形外科の専門医と相談することが重要です。
11.SLAP損傷と肩甲骨の動き
ここからは、スポーツ動作を考えるうえで重要な肩甲骨について解説します。
肩甲骨は、腕を動かす際の土台となる骨です。
肩甲骨の動きには、僧帽筋、前鋸筋、菱形筋など、さまざまな筋肉が関係しています。
前鋸筋の働き
前鋸筋は、肩甲骨の内側縁から肋骨にかけて付着する筋肉です。
肩甲骨の外転や上方回旋、後傾などに関わります。
腕を頭上へ挙げる動作では、僧帽筋などと協調して肩甲骨を動かします。
ボルダリングで高い位置のホールドを保持する際にも、肩甲骨のコントロールが求められます。
僧帽筋の働き
僧帽筋は、上部・中部・下部の線維に分けられます。
それぞれ異なる方向から肩甲骨の運動に関与しています。
特に上部線維と下部線維は、前鋸筋と協調して肩甲骨の上方回旋に関わります。
このような筋肉の協調運動が、肩関節のスムーズな動きを支えています。
肩甲骨の動きだけを見ればよいわけではない
肩甲骨の動きが重要だからといって、肩甲骨だけを鍛えればSLAP損傷が改善するわけではありません。
肩関節の可動域、筋力、疼痛、競技特性、負荷量なども含めて考える必要があります。
また、SLAP損傷そのものを肩甲骨の運動療法によって修復できると断定することはできません。
運動療法は、肩の機能を改善し、スポーツ動作に必要な能力を回復させるための重要な手段の一つです。
12.胸椎の可動性と肩関節の関係
肩関節の動きには、胸椎の可動性も関係しています。
胸椎とは、背骨のうち胸の高さに位置する12個の椎骨です。
胸椎は、伸展や回旋などの動きに関わります。
胸椎が硬いと肩に影響する?
腕を頭上へ挙げる際には、肩関節と肩甲骨だけでなく、胸郭や胸椎の動きも関係します。
胸椎の伸展が制限されている場合、腕を挙げる動作のパターンが変化することがあります。
その結果、肩関節周囲の筋肉の働きや負荷のかかり方に影響する可能性があります。
ただし、胸椎の可動性が低いことがSLAP損傷の直接的な原因であると断定することはできません。
ボルダリングでの胸椎の重要性
ボルダリングでは、身体を壁に近づけたり、遠くのホールドを取りにいったりする際に、胸椎の伸展や回旋が求められます。
特にオーバーハングでは、体幹の位置をコントロールしながら肩関節を動かす必要があります。
胸椎や体幹の動きを適切に利用できることは、効率的なクライミング動作を考えるうえで重要です。
13.SLAP損傷と体幹・股関節の運動連鎖
スポーツ動作では、肩関節だけが独立して働くわけではありません。
特に野球やテニスなどのスポーツでは、下肢から体幹、上肢へと力を伝える運動連鎖が重要です。
野球の場合
投球動作では、下肢で生み出した力を骨盤や体幹を介して上肢へ伝えます。
股関節の可動域や体幹の回旋能力が十分でない場合、投球動作に影響する可能性があります。
そのため、肩の痛みがある選手に対しては、肩関節だけでなく股関節や体幹の動きも確認することが重要です。
ボルダリングの場合
ボルダリングでは、足でホールドを押す力や体幹の安定性が、上肢への負担に関係します。
足を適切に使うことで、腕だけに体重が集中する状況を減らせる場合があります。
また、身体の重心位置をコントロールすることで、ホールドを保持する際の負荷のかかり方が変化します。
ただし、競技動作の効率が高いことと、SLAP損傷を確実に予防できることは同じではありません。
競技特性や個人差を踏まえて考える必要があります。
14.SLAP損傷からスポーツ復帰するために
スポーツ復帰を目指す場合には、痛みの程度だけでなく、肩関節の機能や競技動作への対応能力を確認する必要があります。
リハビリテーションは、損傷の状態や治療方法によって異なります。
以下は、一般的な考え方です。
第1段階:痛みを悪化させない負荷管理
まずは、症状を強く誘発する動作を調整します。
ボルダリングでは、ランジやデッドポイント、急激な足切れなどの負荷が大きい動作を一時的に制限する場合があります。
野球では、投球量や投球強度の調整が必要になることがあります。
ただし、完全な安静が常に最適とは限りません。
損傷の状態や医師の指示に応じて、適切な活動量を検討することが大切です。
第2段階:可動域と筋機能の回復
肩関節の可動域や筋力を確認し、必要に応じて運動療法を行います。
この段階では、腱板や肩甲骨周囲筋の機能が重要になります。
ただし、痛みを我慢して強いストレッチを行うことは避ける必要があります。
特に急性期や手術後では、組織の状態に応じた制限が必要です。
第3段階:肩甲骨・体幹との連動性を高める
肩関節の機能が回復してきた段階では、肩甲骨や体幹との協調運動を意識したトレーニングを行います。
例えば、肩甲骨の安定性を意識した運動や、体幹の回旋を伴う運動などがあります。
ただし、すべての方に同じ運動が適しているわけではありません。
第4段階:スポーツ動作への段階的な復帰
最終的には、実際の競技動作に近い負荷へ段階的に移行します。
野球では、軽いキャッチボールから徐々に投球距離や強度を上げていく方法があります。
ボルダリングでは、負荷の小さい課題から始め、保持時間や動作の難易度を段階的に高めることが考えられます。
復帰時期は、症状や損傷の状態、手術の有無などによって大きく異なります。
痛みがなくなったことだけを理由に、すぐに高強度の競技へ戻ることは避けましょう。
15.SLAP損傷を予防するために意識したいこと
SLAP損傷を完全に防ぐ方法が確立されているわけではありません。
しかし、肩関節に加わる負荷を適切に管理し、競技に必要な身体機能を維持することは重要です。
① 急激な負荷の増加を避ける
スポーツでは、練習量や強度が急激に増えると、身体への負担も大きくなります。
特に久しぶりに競技を再開する場合や、新しい高難度の動作に挑戦する場合には注意が必要です。
② 肩関節周囲の筋力を維持する
腱板や肩甲骨周囲筋は、肩関節の運動や安定性に関わっています。
競技に必要な筋力や持久力を維持することが大切です。
③ 肩甲骨と胸椎の動きを確認する
肩甲骨や胸椎の動きは、腕を頭上へ挙げる動作に関係しています。
可動域の制限や痛みがある場合には、無理に動かすのではなく、その原因を確認することが重要です。
④ 痛みを我慢して競技を続けない
肩の奥に痛みがある場合や、引っかかり感を伴う場合には、無理に競技を続けないことが大切です。
特に外傷後に強い痛みが生じた場合や、肩が不安定に感じる場合には、整形外科での診察を検討しましょう。
16.豊川市のふうりん接骨院が考える肩の痛みへのアプローチ
愛知県豊川市小坂井町にあるふうりん接骨院では、スポーツによる肩の痛みや身体の動かしにくさについて、肩関節だけでなく全身の動きにも着目しています。
肩関節は、肩甲骨、胸椎、体幹などと協調して働く関節です。
そのため、肩の痛みを考える際には、痛みのある部分だけでなく、身体全体の動作を確認することも大切だと考えています。
肩関節の動きの確認
腕を前方や側方に挙げる動作、肩を内旋・外旋する動作などを確認します。
また、左右の動きの違いや、どのような動作で症状が現れるのかにも注目します。
肩甲骨の動きの確認
腕を挙げる際の肩甲骨の動きや、肩甲骨周囲筋の働きを確認します。
ただし、肩甲骨の動きに左右差があることだけで、障害があると判断するわけではありません。
胸椎・体幹の動きの確認
胸椎の伸展や回旋、体幹のコントロールなどを確認します。
特にスポーツを行っている方では、競技動作との関係も考慮します。
スポーツ動作に合わせた身体のケア
ボルダリングや野球など、競技によって肩関節に求められる動きは異なります。
ふうりん接骨院では、それぞれの競技特性を考慮しながら、身体の状態に合わせたケアや運動指導を行っています。
なお、SLAP損傷そのものの確定診断や、損傷した関節唇の修復を接骨院で行うことはできません。
SLAP損傷が疑われる場合には、整形外科での診察や必要な画像検査が重要です。
医療機関での診断や治療方針を踏まえたうえで、身体の機能改善やスポーツ動作に関するサポートを考えていきます。
17.SLAP損傷に関するよくある質問
Q.SLAP損傷は自然に治りますか?
損傷の程度や症状によって経過は異なります。
保存療法によって症状や肩の機能が改善する場合もありますが、損傷した関節唇が元の状態に完全に戻るとは限りません。
また、画像上の損傷が残っていても、症状が軽減し、スポーツ活動が可能になる場合があります。
Q.SLAP損傷があってもボルダリングはできますか?
損傷の状態や症状、肩の機能によって異なります。
痛みを伴う動作や強い牽引負荷がかかる動作は、状態によって制限が必要です。
競技復帰については、医師やリハビリテーションの専門職と相談しながら判断することが大切です。
Q.SLAP損傷と五十肩は違いますか?
異なる状態です。
SLAP損傷は主に肩関節の上方関節唇に生じる損傷です。
一方、五十肩と呼ばれる状態には、肩関節周囲の痛みや可動域制限が関係しています。
特に凍結肩では、肩関節の自動運動だけでなく、他動運動も制限されることが特徴です。
ただし、症状が似ている場合もあるため、自己判断は避けましょう。
Q.肩のクリック音があるとSLAP損傷ですか?
クリック音だけでSLAP損傷と判断することはできません。
肩関節の音は、症状のない方にも認められます。
痛みや引っかかり感、不安定感などを伴う場合には、医療機関で相談することをおすすめします。
Q.SLAP損傷は手術しないとスポーツ復帰できませんか?
必ずしもそうではありません。
保存療法によってスポーツ復帰を目指せる場合もあります。
ただし、損傷の状態や競技レベル、症状の経過によっては手術が検討されることもあります。
治療方針は専門医と相談して決定することが重要です。
18.まとめ|肩の奥の痛みは関節唇が関係している可能性も
SLAP損傷は、肩関節の上方関節唇に生じる損傷です。
特に上腕二頭筋長頭腱の付着部と関係が深く、投球動作や肩への急激な牽引負荷などが発生に関係すると考えられています。
野球やボルダリングなどのスポーツでは、肩関節に大きな負荷が加わる場面があります。
そのため、肩の奥に痛みを感じる場合には、SLAP損傷を含めたさまざまな肩関節障害を考える必要があります。
また、肩関節の動きは、肩甲骨や胸椎、体幹などの働きとも関係しています。
肩の痛みを考える際には、痛みのある部分だけでなく、身体全体の動作にも目を向けることが大切です。
愛知県豊川市のふうりん接骨院では、スポーツによる肩の痛みや身体の動かしにくさについて、競技特性や身体の動きを考慮したケア・運動指導を行っています。
肩の奥の痛みやスポーツ中の違和感でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
なお、強い痛みや外傷後の症状、肩関節の不安定感などがある場合には、まず整形外科での診察を受けることをおすすめします。

